急進的変化《00.07.13》
火星が月と違ところは、その表面に大きな変化が見られることです。
冬に成長する極冠(上部)、広い範囲を覆う黄砂の嵐(下部)、季節により変化する暗緑色の領域・・
これらは以前から、地上の望遠鏡でも捉えられていました。
昔の天文学者が火星は地球に似ていると考えたのもうなづけます。
火星表面では一体どのような変化が起きているのでしょうか?
その痕跡は、バイキングの写真にも見られました。
バイキング着陸船が捉えた地上の変化です。
岩のすぐ手前で砂の滑落らしき痕跡が見られます。
2枚の写真がずいぶん違って見えるのは、光線の加減と、2台のカメラによる上下左右のアングルの違いでしょう。
バイキング着陸船は移動できないはずです。
この変化は、何によってもたらされたのでしょうか?
風・・・・火星の大気にはミクロン粒子を飛ばす力しかないはずです・・
水・・・・火星の大気は非常に乾燥しており、希薄な大気下では水は即座に蒸発してしまうはずです・・
地震・・火星での地震はまだ確認されていません・・
しかし変化は起きています。
グローバルサーベイヤが捉えた大規模な変化です。
左の写真に存在する物体の多くが右の写真には存在しません。
中央左の並んだクレータからこの写真が同じ地域を写していることは明らかです。
そして、地表の影の長さから物体の高さは約8,000mと推定されています。
それでは8,000mもの物体はどうなってしまったのでしょうか・・
NASAでは、この物体はdustdevil(局所的な塵の竜巻)だとコメントしています。
高解像度で捉えたdustdevilの写真です。
山のような盛りあがりとその影、dark streakを残して移動する様子がわかります。
ミクロン粒子を飛ばす力しかない火星の大気が大規模な痕跡を標すのは驚異です。
しかし、左下のスケールと比べると、8,000mもの巨大さはありませんし、
先の画像ではここで見とめられるdark streakも認められません。
本当に同じ現象なのでしょうか!?
この地域はdustdevilの多発地域で、じつにおびただしい痕跡(dark streak)が見られます。
(矢印の部分に活動中のdevilが見られます)
そしてdustdevil・・その正体は本当に塵なのでしょうか!?
火星表面に水の存在する証拠が捉えられたことは新鮮な衝撃でした。
水の痕跡・・それがどれくらいの期間で起こった現象なのかそれが問題です。
例えば、それが数億年前の痕跡で、未だに「それらしく見える」だけであれば、
「数億年前は火星も温暖で厚い大気と豊かな水を持っていた」と言えるわけです。
火星は地球より引力が弱い(脱出速度が小さい)ので、大気の分子が引力を振り切る確率が高く、
数億年のうちに、多くの資源が宇宙空間に消えてしまったと。
しかし、グローバルサーベイヤーは、この水の現象が今まさに起こっている証拠を捉えたのです。
多くの暗い筋がクレータ底へ向かって伸びています。
これは、水の痕跡です。そしてその変化は現在も起きていたのです。
2枚の画像は1年9ヶ月の間をおいて撮られたものです。
左の新しい画像には、水の染み出した様子が捉えられています。
これは、ごく短期間の間に、しかも現在もなお水による変化が起きていることを示す証拠になります。
水が染み出すクレータはまだあります。
このクレータにも底に向かう多くの暗い筋が見られます。
風・・・・火星の大気にはミクロン粒子を飛ばす力しかないはずです・・
水・・・・火星の大気は非常に乾燥しており、希薄な大気下では水は即座に蒸発してしまうはずです・・
グローバルサーベイヤーが捉えた現象が、現在考えられている火星像を覆す証拠となるのは間違いないでしょう。
そろそろ発表されるかも知れませんね。
火星は水を保持し、砂を移動させるのに十分な大気圧を持っていると。
そしてdust devilの正体も・・
http://kiti.main.jp/