Water Hazard《00.06.25》

「火星の無人探査機が火星に水を発見」というニュースが続々報じられています。
火星に水・・それは以前から言われていることでした。
しかし、それが
今も存在するとなれば大変なことです。
今回の報道には、
火星の環境が地球に近いことを伝えるという、大きな意義がありそうです。


「火星にはかつて水が存在した」この事実は、30年前以上前の探査機でもその痕跡が捉えられていました。
しかし、それは数百Kmから数千Kmもの大規模な地形であり、
数億年前の痕跡と考えられていたのです。

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大規模な流線型や、峡谷。これらは一時的に途方もない水量に見舞われた痕跡です。
火星には地中に大量の凍土があり、たとえば火山活動や隕石の衝突で一時的に溶解し、
大量の土石流が発生・・まさに
WaterHazardです。

火星の乾いた希薄な大気は水をすぐに蒸発させてしまうと言われています。
それでは、この大量の水は蒸発してしまったのでしょうか?
水が蒸発したとしても、それほど
大量の水蒸気を大気に蓄えることは出来ないはずです。
水は再び何らかの形で大地に戻って行ったのでしょう・・

水の痕跡・・グローバルサーベイヤーは砂漠に不思議な痕跡を捉えていました。

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こららは何もコメントされていないのですが、水が染み出した跡のように見えます。
しかし、火星では薄く乾いた大気に瞬く間に水は乾燥してしまうはずです。
では、これらは一体何でしょうか?


やはり、水は数億年前に消えてしまったわけではなかったのです。
今回のグローバルサーベイヤーの業績は、
もっと小規模の痕跡を見つけていたことでした。
小規模の痕跡・・それは
数億年も以前のものであれば、浸蝕され原形を失ってしまうはずのものだからです。

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ここに来てNASAは水が存在することが確認できる超・超高解像度画像を公開し始めたのです。
その解像度は驚くべきもので、まさに航空写真を思わせるものです。


バイキングイメージの白枠内がグローバルサーベイヤーイメージ

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この写真は一見して奇妙です。

バイキングイメージではクレータの底が白く、
サーベイヤーイメージでは黒い
のです。
これを見たとき一瞬反転イメージかと思いました。
しかし、NASAはここに水の痕跡を示しています。
水はM11-00530の枠内にクレータ壁から染み出しています。
しかし・・この写真で
最も気になるのは、クレータ底の暗い
部分の正体
でしょう。

バイキングではこれが白く写っています。
これが
氷結した湖面を捉えたもので、黒いイメージは
溶解した湖面を捉えたもの
と解釈できないでしょうか。






そしてAB1-07707と書かれた部分

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長年この画像のみが公開されていました。
クレータ壁の浸蝕と底の変色は異様ですが、
この解像度ではまだ水の現象と考える根拠も希薄です。


そしてM11-00530とさらにクローズアップ。
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なんとも凄まじい解像度です。岸壁から覗く濡れた岩肌が鮮明に捉えられています。
数年間AB1-07707のみが公開されていたウラで、こんな画像が眠っていたとは・・


この解像度で底の黒い部分も見てみたいものですが、残念なことにまだ(?)公開されていません。
NASAは
水が染み出していることは認めたものの、水が溜まっていることには言及していないのです。

バイキングイメージでは、大規模な干ばつで干上がった大地を思わせる地形・・
このひび割れたような大地の一角にも、
水の痕跡が認められます。

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このクレータは、ドロの中に石を投げた時と同じ形の波紋を持つ言われ、
永久凍土が隕石の衝突で溶けたものと言われていました。
(溶岩流を伴う火山という説もありますが小数派のようです)


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グローバルサーベイヤはこのクレータも捉えていました。

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クレータ内壁に溶け出した凍土が刻んだ痕跡。しかし、ここはすでに乾いてしまったようですが・・

将来、宇宙飛行士が火星を訪れ、その土を手に取ったとき、そこにキラキラと輝く水滴を見るかもしれません。

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火星に水が存在するとすれば、可能性は二通りです。

希薄といわれる火星の大気は実は水蒸気で飽和しているのか、
あるいは伝えられている以上に濃い大気を持っているのか。



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