海王星の秘密・消えた大暗斑《99.5.17画像5》

1989年,海王星に到達したボイジャー2号が送ってきた写真には、青い球体に
巨大な暗斑が写されていました。



Kaiou.JPG

この暗斑の成因としてすぐに思い浮かぶのは木星の大赤斑です。
どちらも地球大の大斑であるという共通点はありますが、大きく違うことがあります。
それは、木星の斑が大気と同じ速度で移動しているのに対し、海王星の斑は、
本体の自転と同じ速度で移動していることです。
ちなみに、下方の小斑は大気と同じ速度で移動しているので、大暗斑との違いが確認できます。



KaioJiten.JPG

この事実から、木星の斑は大気現象と考えられますが、海王星の斑は本体の特徴といえそうです。
斑に白い雲がまとわり付いていることから、他の部分とは温度や高度が異なるのかも知れません。
しかし、液体ガスの固まりといわれる外惑星の本体に一体何があるのでしょうか。


地球の雲にそっくりな海王星の雲。


Kaiokumo.JPG

白い雲が立体的に青い背景から分離して見えています。
海王星の大気は非常に澄んでいて、本体が見えているのかも知れません。


すると、暗斑は青い液体ガスに浮かんだ大地・・
もし、そうであれば、外惑星はガス球であるという通説が覆ることになります。
ボイジャー2号によるわずか数日の接近観測では、それが何であるか確認することは
出来なかったようです。
将来の外惑星探査まで待たなければならないように思われました。


しかし・・

ハッブル宇宙望遠鏡が、意外と早く情報をもたらしてくれました。
それまで、地上の望遠鏡では全く判別できなかった海王星の表面の様子を、ハッブルでは、
ボイジャーの画像より少し劣る程度の品質で捉えることができたのです。



Kaiohabl.JPG

残念ながらそこに暗斑を見ることはできませんでした。
数年の歳月が暗斑を消滅させてしまったようです。
海王星の表面に存在したと思われる地球大の斑は何だったのでしょうか。


最近の説では、表面の青色は大気のモヤによるもので、部分的にモヤが晴れて液体ガスの
表面が暗く見えていたというものですが、大暗斑の運動が自転周期と一致すると言う観測とは矛盾しています。


もう一つ考えられること、それは数年前に木星に起きたあの事件です。
その時木星には、十数個に分離したシューメーカレビュー水星が次々と衝突しました。



Jypi.JPG

そして、木星の大気上に地球大の暗班をもたらしたのです。
木星は不透明な大気で覆われているため、大気上部の変化を見ることしか出来ませんが、
もし海王星で、同じことが起これば・・青い液体ガスの海に大きな痕跡を残したかも知れません。



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