月の秘密・謎の谷《99.5.16画像8》

月の谷は、地球の渓谷とは異なり、平原やクレータなどの地形を乗り越えて存在し、
多くの場合地割れのように見えています。


ある部分で大地が引き裂かれ谷が出来れば、ある部分では圧縮され山脈が出来ます。
ちょうど地球のプレートテクトニクスに似たメカニズムのようです。



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しかし一方で、地球の川のように何かの浸食で形成されたと思われる谷も存在するのです。
それらの特徴は、高地を回り込むように伸び、終端が丸いくぼ地になっています。



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おたまじゃくしのような谷。


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双子のおたまじゃくし。


谷の終端がくぼ地になっている、これらの谷は、くぼ地から涌き出た何かによって侵食を
受けた川のようにも見えます。
くぼ地のスケールが小規模であることから、溶岩流とは考えにくそうです。
それは、温泉のような地下水の涌き出た跡かも知れません。


アポロ計画では15号が唯一、谷を真近で見ています。
ハドレー谷、それはやはり高地を回り込む特徴を持ち完全にV字型で、どこを取っても
一定の幅を持つ特徴的な谷です。



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ルナオービターでの低解像度写真。
山を避けて通るのがわかります。



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降下中のアポロ着陸船からの写真。
谷がV字型であることがわかります。


左下のクレータの裾野が谷を部分的に埋め立てているようです。
アポロ15号は、そのクレータの左側の影になっている部分に着陸しました。


ルナオービターによる高解像度写真。

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この谷の幅は、1.6Kmほどです。
V字型で他に例の無い、人工的な景観を持つことから、この谷は現在掘削中だという
説もあります。
部分的に崩れ、巨石が転がり落ちている様子は、拡張工事を思わせるものです。
それが何の為であるかは別として・・


そしてアポロの写真です。


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初めて谷が真近で捉えられた写真です。
単調で、限りなく透明な景観は遠近感を鈍らせるようで、とても幅が1.6Kmもあるようには
感じられません。
谷の傾斜も意外と緩やかで、浅い谷に見えますが、谷底まで数100mはあるようです。
飛行士は、こんなギリギリのところまで行って大丈夫なのでしょうか。


しかし、この写真を見る限り、人工的な拡張工事がなされている様子は無いようです。
完全にV字なのは、この谷の幅が比較的狭く底が平らになれないためなのかも知れません。



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