火星の秘密・影のベール《99.6.12画像5》

フォボスのシルエットであるという写真。

phoboss.JPG


シルエットの解釈は二通りできます。

@ フォボスは火星面の手前に存在していて、明るい火星面に露出が合わせられているため黒く写っている・・
  ・・フォボスは平均的火星面の30パーセント弱の明るさです。
   しかし、いくら火星面が明るいといっても逆光で写されたわけではありません。
   実際火星とフォボスの同居する写真では、明度の違いは明らかなものの、フォボスの表面は判別できます。


Phobosx.JPG


A フォボスはこの画面の外にあり、火星面に真っ黒な影を落としている・・
  ・・影が真っ黒であるということは、その場所には太陽の光が当たっていないということです。
   つまり、その場所に立ってみれば、フォボスが太陽を覆い隠しているはずです。


   では、火星の衛星が、太陽に比べて、どののくらいの大きさに見えるのかというと、
   フォボスは太陽に比べ、距離が21052分の1で、直径が45454分の1なので、46パーセントに、
   ダイモスは同じく、距離が9523分の1で、直径が83333分の1なので、11パーセントに、

   みかけの大きさは、どちらも太陽より小さいのです。
   これでは、真っ黒な影は作れません。


このシルエットの主は、何物なのでしょうか。


この写真は、フォボスのシャドウであると公表されているものです。
22Kmのフォボスが落とす90Kmの影が、3分間に移動する様子を示しています。


kage1.JPG

kage2.JPG

Kage3.JPG

90Kmの影が3分間で、自分の大きさの7倍(630Km)を移動しています。
これは単純計算で秒速3.5Kmに当ります。
この速度は軌道周回速度の2.9Kmより若干速いですが、アバウトに見て妥当な速度でしょう。


また、火星表面から9000Kmしか離れていない22Kmの衛星の影が90Kmにも大きくなるのは、
見かけの太陽の直径の半分しかない計算ともの一致するように思えます。
しかし物体が作る影は、周囲の明るさに対して、75パーセントの明るさを持つはずで、
ここまで真っ黒になるのも不思議です。


もしかしたら写真のコントラストが非常に高く、それが影のベールの正体なのかも知れません。


kiti30g.gifhttp://kiti.main.jp/