火星の秘密・ガリバ−旅行記《99.6.10画像8》
火星の衛星の存在を予言したとされるのは、スイフトの「ガリバー旅行記」です。
それは、衛星発見の151年前、1726年に出版されました。
ガリバーは、ラピュタ国の天文学者から
火星には2個の小さな月がある。
内側の月は火星の直径の3倍離れたところを10時間で回っている。
外側の月は火星の直径の5倍離れたところを21時間30分で回っている。
と聞かされます。
そして1877年、火星の二つの衛星が発見されたのです。

火星とフォボス。ロシアのフォボス2号撮影。
スイフトの予言を検証してみると・・青:ガリバー、赤:観測結果
個数
|
内側・フォボス
大きさ |
距離比 |
公転時間 |
小さい |
3倍 |
10時間 |
22Km |
1.4倍 |
7.7時間 |
|
外側・ダイモス
大きさ |
距離比 |
公転時間 |
小さい |
5倍 |
21.5時間 |
12Km |
3.5倍 |
30.3時間 |
|
スイフトの予言は、距離と公転時間の関係から見て、仮定に基づく予測とも、
未知の何者かに事実を教えられたモノとも言えないようです。
しかし、見ようによっては驚くべき近似値かも知れません。
衛星といえば地球の月と、その同規模の木星の四大衛星しか知られていない時代に、
スイフトはどうして、その数百分の一規模の見えない衛星系を想像することが出来たのでしょうか。
一つの可能性は、学者ケプラーにあります。
ケプラーは、スイフトより以前、1610年に火星の衛星が2個以上であることに言及していたのです。
しかし、あくまで数の予言にすぎず、スイフトがその話を伝え聞いたという記録もありません・・
ダイモスの全景。
岩の固まりという印象を受けます。
バイキングによるダイモスのクローズアップ。

数メートルのモノを識別できるこの画像では、マイクロダストで滑らかに均された表面に
家ほどの巨石が存在する様子がわかります。
1960年代の観測では、内側の衛星フォボスは軌道が大きく変化していると言われていました。
フォボスが極端に軽い天体で、火星の空気抵抗を受けているとすればうまく説明できるとして、
ソ連のイオシフ・シュコフスキーは、フォボスは中空の人工天体であると発表しました。
のちに、それほど大きな変化ではないことが判明し、また探査機によるクレータだらけの岩塊の写真が
公表されてからは、人工天体説は消えてしまったかのように見えます。
しかし、バイキング周回船により、問題は再び提起されました。
フォボスの追跡調査で、密度が低く非常に軽い天体であり、火星の潮汐作用で軌道が変化していることが
確認されたのです。このため、フォボスは一千万年程で火星に落下すると言います。
表面のスペクトルから炭素が検出され、一般には軽い炭素系コンドライトの天体と考えられていますが、
一説では自然界には存在しないアルミニュームも検出されていたと言われ、依然ナゾを残しているのです。
フォボスの全景。

本体の3分の1に当たる8Kmのスティクニー・クレータはスターウォーズのキラー衛星を
想わせますが、そのいびつな外観からは人工天体らしさを感じることは出来ません。
グローバルサーベイヤはフォボスの近接画像を捉えています。

そこには一つだけ奇妙なモノが写されていました。四角で囲まれた部分を拡大します。

中央左、スティクニーの縁に ビルほどの凸型の物体が存在します。
これは巨石でしょうか。
しかし、これほど複雑な形をした巨石は他に例がありません。
もしかすると、宇宙船フォボス号の司令室・・
http://kiti.main.jp/