金星の真実 温室効果は間違いだった《2003.2.2》


すべてが雲に隠された金星の世界。

そのデータは、歴史とともに大きく変ってきた。全体が熱帯雨林のように温暖湿潤と言われた20世紀初頭から、
宇宙探査の時代になると探査機が送ってくるデータを説明するために研究者が苦心する時代へと・・


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ロシアが公開したベネラ13号によるカラー画像には地球と何ら変わらぬ岩肌や明るく澄んだ地平線が映し出されている。
「本当に人間が一秒たりとも生きられない高温高圧の世界なのだろうか?」誰もがそう思うに違いない。
地平線までシャープな画像から、空気は非常に透明で安定していることがわかる。
高熱で陽炎が立ち込める世界であれば、写真はピンボケになるからだ。


しかし、この貴重なカラー画像は今まで全く違う色で公開されてきたのである。

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一体どちらが本当の色なのであろうか?

厚い雲により太陽光が変色しているのか、あるいは高温で地表や大気が発光しているのか。
これはどちらも当てはまらない。
地表がオレンジになるには夕焼けのように空が赤くなければおかしいが、ここに写されている空は赤くない。
また物質が溶岩や炎のように発光するには1000℃の高温が必要だ。やはりオレンジ色のカラー画像は理に合わないことになる。


90気圧470℃とされている金星のデータはロシアのベネラ7号によってもたらされたものである。
この温度ではもちろん液体の水は存在出来ない。
90気圧下では水の沸点は300℃にまで上昇するが、それでも470℃の世界では気化してしまうからだ。
また二酸化炭素は地球上では70気圧で液化するが金星の高温の元では液体になることも出来ない。
しかしこれは、言い替えれば金星は少し温度が低ければ水や二酸化炭素の海が存在できるこということになるのだ。


金星に海が存在できる可能性はあるのか?
厚い雲に覆われた金星の表面を知る唯一の方法はレーダーマップ画像である。
高解像度レーダーマップはマイクロ波を斜めに照射し反射による位相差のデータから画像を合成する。
膨大な水域があればマイクロ波は吸収され水面は真っ黒になるはずである。
アメリカの金星探査機マゼランのレーダーマップは膨大なデータをサンプリングすることにより、
光学写真並の数mの解像度を得ることができるすばらしいものだ。


西経250度ベータ領域、北緯70度イシュタール大地、経度180アトラ領域・・
高解像度画像を金星全体もマップにマークしていくと興味深い傾向が現れてくる。
公開されている画像は例外無く「ある高地」以上の画像に偏っているのだ。
あるいは低地の画像は水面を写してしまっているため公開できないのかも知れない。
それを裏付けるように、地球にデータを送信してきたベネラ探査機は全て中高地に着陸していたのである。


十字が高解像度画像の公開されている地点、数字は着陸に成功したベネラ探査機
(訂正:1・2・3・4はそれぞれ11・12・13・14です)


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仮に海があるとすれば、それは水なのだろうか、それとも炭酸ガスなのだろうか。
水の海だとすれば、条件は気温が水の沸点より低いだけでよいことになる。90気圧ならば300℃だ。
それに対し炭酸ガスの海を想定すると、地球並の気温と炭酸ガス以外に70気圧以上の大気が必要になる。


惑星の地表温度を決定するのは、太陽からの入射エネルギー(光)と惑星面からの放射エネルギー(赤外線)である。
入射エネルギーは惑星の半球に一方から当るため周辺ほど角度が大きくなりエネルギーは減少する。
それに対し放射エネルギーは半球のどこからも均等に逃げていくため入射エネルギーより大きくなる。
つまり放射冷却の状態になる。そしてこれを緩和するのが大気による温室効果である。
金星の場合は地球より太陽に近い分入射エネルギーは大きいが、明るい雲によって約80%が反射している。
したがってエネルギーは地球のそれより小さくなり、温室効果を考えない場合の金星の平均温度は−53℃となる。
これは探査機のデータ470℃と比較して520℃の差があり、これが温室効果による温度上昇とされている。
このデータが正しければ、宇宙空間に放射されるエネルギーは逆算すると0.75%となる。


実はこの計算には盲点があるのだ。
実際は20kmもの厚さの雲の層により入射エネルギーはさらに弱まり、ベネラによると地上に届く光は3%程度にまで減衰している。
雲による減衰はより長い距離を光が通過する周辺ほど顕著になるため入射エネルギーの総量はさらに小さくなる。
最終的なエネルギー量は2%程度と木星近傍に近い値となる。
この条件下で温室効果の無い状態の平均温度は-150℃となる。
そして、放射エネルギーを0.75%として計算すると、金星の気温は146℃となり、水が存在できる条件を満たすのである。
もしこの考えが成り立たないならば現在の惑星温度を決定する計算自体が間違っているか探査機のデータが間違っているという事になる。
少なくとも温度データに誤りがあることは証明できたはずだ。


冒頭の金星表面の画像をよく見ると、右の地平線付近には白い霧が発生しているように見える。
これはまさに水の液滴からなる霧ではないだろうか。
さらに高解像度のレーダーマップ画像には、水が存在しないと説明が付かない河川も写し出されていた。


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現在の金星に海が存在できるならば、金星の環境は公表されているデータとは大きく異なるはずである。
炭酸ガスは海に溶け込み、海で発生した藻類によって酸素が生産される・・
地球と同様の環境、生命の起源を辿ることになるからだ。


1970年代にベネラ4号とマリナー5号によってもたらされたデータは60%の反射率、15〜22気圧270℃であった。
このデータは炭酸ガスの温室効果だけでは説明できず、金星全体で活火山による熱の供給が続いているという仮説が生まれた。
しかし、今日に至っても活火山は確認されていない。
その後ベネラ7号により80%の反射率、90気圧470℃というデータに塗り替えられ、
研究者はすさまじい温室効果を計算に組み込まざるをえなくなった。


本当の金星はもっと住みやすい世界なのではないだろうか。
ベネラの画像は明るく澄んだ世界を直感させる。
もし金星の反射率が60%であれば、地球と同じ大気を仮定しても平均気温が地球より7℃高いだけである。
全体が熱帯雨林のように温暖湿潤と言われた20世紀初頭の認識が実は正しかったのではないだろうか。
そうなれば金星に「人間」が住んでいてもおかしくない。
金星には知的生命体の活動を想起させられる幾何学パターンも存在するのである。


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また、金星の紫外線画像には不透明な雲が写っているが、紫外線を吸収するのはオゾンや酸素であり、硫酸や炭酸ガスではない。
これは地球と同様、水蒸気による大気現象を見たものだ。


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「生命に満ち溢れた世界」それが金星の真実かも知れない。



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