CPUコア選別の法則 by Gamaさん《00.6.5》《00.6.7》

データシートの情報から、CPUコアの特性を探る!


 IntelやAMDの公開しているデータシートをもとにあるパラメータをプロットすると面白い傾向がみえてくる。
(参考、グラフ)


《Intel CPUとAMD CPUの比較》
intel_amd.gif

《Intel CPUのみの比較》
intel.gif

 このパラメーターは、クロックが高いほど小さくなっている。これは選別の結果が傾向として現れたのかもしれない。

00.6.7《Thunderbirdの定数を追加》

650
700
750
800
850
900
950
1000

0.019217461
0.018932279
0.018638985
0.018425606
0.01823733
0.018031746
0.017873255
0.017730612

いままでのAthlonよりも若干低くなっています。
L2キャッシュが統合されたことを考えると、
Athlonの質は着実にあがっているようです。








さて、このパラメーターは私が、冷却のためCPUの発熱量を見積もるため次のようにして求めた。
CPUの発熱量は、周波数と電圧からだいたいの値を求めることができる。

Wcpu=A×Fcpu×Vcore^2+B
Wcpu:CPUの発熱量
Fcpu:CPUのクロック
Vcore:コア電圧
A:コアの種類によって決まっている定数
B:キャッシュやI/Oまわりの発熱。キャッシュの種類によって変化


 この定数Aの値は、同じコアならintelのCPUだいたい一定であった。
AMDのCPUは、電圧やコアの仕様を頻繁にかえるためばらつきが大きかったが、
やはりほぼ一定と考えて良かった。
しかし、最近のCPUでこのデータを取ると
高クロック側でこの値が小さくなる傾向が現れている。
これが選別の結果なら面白いことがいくつか見えてくる。



1. AMDの選別の方がintelの選別より厳しい。
   良く言われる
AMDの選別の方がintelの選別より厳しいと言う事実を確認できる。
  P3では、ほとんどAの値に差がない。
  これに対して
Athlonの方が、定数Aの傾きが大きい

2. Celeron2とPVのコアは、別物?
   にわかには、信じがたいがどうやら
Celeron2のコアとPVの製造工程は、まったくことなる可能性が高い。
  Celeron2の定数Aは、新コア(cB0)のPVより旧コア(cA0)に近い。
  現在、出まわってCeleron2のプロセスルールは、P3の新コア(cB0)と言われている。
  しかし、
Celeron2と新コア(cB0)の定数の差は、あまりに大きい
  単に選別による差だとすると、
その間のコアはどこにあるのか、そしてそのコアはどこへいくのかとの
  疑問が残る。


  《以下,gamaの推論》
   可能性1 Celeron2のプロセスルールは、cB0なのだが、製造の質でコストダウンをはかっており、
        品質のばらつきが大きい。つまり、
おなじcB0でもPVとはラインが異なる

   可能性2 今後、Celeron2は、cA0のプロセスルールで生産される
        現在、出回っているcB0なCeleron2は将来なくなる。


   可能性3 大量のCeleronが、intelにストックされている。選別の隙間のCPUは大量にストックされており、
        後日、戦略的に大量投入される。


   可能性4 データシートの値は、じつはエンジニアサンプルでとった値。

   私(gama)は、可能性1が最も可能性が高いと思っています。意外に4だと笑えますが…
   可能性3は、まずないと思いますが、
Duron対策で大量投入してくる可能性は否定できません。

3. Celeron2の選別は、厳しい
   P3やCeleronと比較して、Celeron2は、定数Aの傾きが大きい。
  これは、
Celeron2が、過去のintelのCPUと比較し、選別が厳しい
  2.と合わせて今後でてくるであろう、新しいCeleronの定数Aが
  どうなるか気になるところ。


4. Celeronは,やっぱり400MHzのCPUだった
   400MHzまでCeleronの定数Aは、一定。433MHzから傾いている。
  つまり400MHzまでは選別の必要がなかったことになる。ちなみに
  400MHzまでの定数Aの値はPUとまったく同じ値。
  やっぱり
Celeronは、PU400Mzとまったく同じと言ってよかったようだ。

5. AMDがCPUの高クロック化で余裕ぶっこいていたと言うのはホントだった
   
0.25μmプロセスのコアの700MHzの定数Aは、やたらと低い。これはホントは、
  もっと高いクロックで出せたけど0.18μmのコアが順当に生産できなかった時に備え、
  0.25μmプロセスの質の高いコアをストックしていたことを意味するのではなかろうか。


6. IntelのCPUのばらつきは、AMDの1/3
   
1GHzのPVは、cA0のプロセスルールで生産されたものだ。
  これがcA0の最高品質とするとintelのCPUの定数AのばらつきはAMDのCPUに比べ1/3程度。
  Intelの製造ラインの
安定した品質で生産する能力の高さが窺い知れる。
  (もっともショート問題を出してしまっては無意味だが…)


7. AMDの1GHzのCPUは実はハズレ
   恐ろしいことにAMDの1GHzのCPUの定数Aは、やや高い。もしかして
  この石って
プルアップしたハズレコア?

以上が、私、gamaのこのデータから想像したモノです。
定数Aと選別の関係が確かなものかどうか確認したわけではないので、こう言う話も
あるよという程度にとらえてください。


P.S.私は、いままでステッピングについては、あまり関心がなくそれほど知識がありません。
  そのため誤った解釈をしているかもしれません。間違っていそうな点や
  私の見落としがあるようでしたら御指摘ください。




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