エロスの風景《2000.11.5》
小惑星エロス、初めて見る小惑星の世界・・
《NEAR計画》
地球と火星の間を回る小惑星エロス。
長辺33Km、短辺13Km、自転周期5時間16分
NEAR探査機は、この小惑星を周回して超高解像度の画像を送り続けています。
地球の1600分の1の重力しかない地表に、軟着陸の目標地点を探しながら・・
重力が1600分の1のということは、4Kg(10立方Cmで比重4として)の石が2.5gになり、
これは、10立方Cmの空気1.2gのほぼ2倍に相当します。
エロス最大クレータの底に存在する100m超の大岩もフウセンに過ぎないのです。
エロス全体は赤みを帯びていますが、接近画像では赤と白のまだらの様子がわかります。
小惑星へクトール。その細長い外観と明るさの変化からからピーナッツ形状と考えられています。
一方の本体から、まだ日の当たらぬくびれの向こうに巨大な壁が覆い被さる・・
想像画の世界でしかなかった小惑星の風景がNEAR計画によって現実のものとなりました。
まさに想像画そのものの世界・・
不思議なことに、両斜面に岩が存在します。
エロスには下が無く、常に地面が下なのかも知れません。
何かが湧き出て流れ落ちたような侵食痕が見られます。
微小重力で真空の世界にも液体が存在したのでしょうか。
これを見る限り、深くえぐれたクレータには「下」が存在するようです。
円形陥没痕の直径は約100m、深さは10m程です。
起伏の激しい地表を捉えた画像です。右下の丘の上の岩群に注目です。
30m近い巨岩が埋もれることなく存在しています。
これは、隕石の衝突で砕けた岩が、ゆっくり着地したためでしょう。
エロスでは、巨岩もフウセンなのですから・・
重力1600分の1の岩石の世界。そこは想像の世界そのもののように見えました。
しかし、NEAR探査機からの映像はそれだけではなかったのです。
そこには、存在してはいけない数々の異景が・・
《NEARサイト》
http://near.jhuapl.edu/
http://kiti.main.jp/